トップページ研究室紹介(基礎医学領域)機能形態学 機能組織学(解剖学第二)

機能形態学

機能組織学(解剖学第二)

研究室概要

(1)神経再生メカニズムの解析

(i)神経再生関連遺伝子探索

神経再生のメカニズムを解明し、損傷神経の再生や神経変性疾患の進行抑制への応用を目指しています。末梢神経は再生しますが、中枢神経は再生しにくいとされています。そこで、再生可能な末梢神経の損傷モデル動物を用いて、その再生現象の全貌の解明を目指します。各種のゲノミクスやプロテオミクスのスクリーニングの手法を用い、今までに既知・未知の数多くの分子が神経損傷後に発現し、様々な機能を発揮していることを明らかにしました。これらのスクリーニングで得られたパーツ(分子)を組み合わせてゆくことで、神経再生の様子が徐々に浮かび上がってきつつあります。

(ii)遺伝子発現の統御機構

実際に損傷を受けた神経細胞が再生する過程では、実に多くの分子が複雑な相互作用をして再生へ向かいます。損傷刺激に応答して多くの遺伝子が同期して発現を開始します。したがって、このような複数の神経再生関連遺伝子の発現をまとめて制御しているメカニズムが生体にあるに違いありません。いわば、神経再生の最初のスイッチを入れる遺伝子です。また、これとは別に神経再生に必要な複数の発現を通常OFFにしている逆のスイッチ(mi-RNAなど)の存在も分ってきています。このような神経再生に関わる起動スイッチやOFFスイッチ分子の発現を制御できれば、効率よく神経を再生へ向かわせることができます。現在までに、いくつかの神経損傷特異的な転写因子(スイッチ)や、それらのスイッチをOFFにしているmi-RNAを同定しており、この辺りのメカニズムを応用し治療へとつなげて行きたいと考えています。また、それらスイッチ遺伝子の発現特性を活かし、神経細胞が損傷を受けた時にのみ神経細胞が蛍光標識されるマウスや損傷神経細胞特異的にCreリコンビナーゼが発現するマウスを作成しています。これらのマウスは、個体レベルでの再生研究に非常に有効なツールになると期待しています。

(iii)神経−グリア相互作用

最近、神経細胞に異常がなくともその周辺のグリア細胞に異常が生じることにより神経細胞が変性に至ることが知られ、神経細胞非自律的な、周辺の環境に依存する神経細胞死が起こることが明らかになりました。神経損傷後の修復過程においてもミクログリアやシュワン細胞など多くのグリアとのインタラクションがダイナミックに展開されます。特にミクログリアは形態変化をしながら脳内を移動し、多くの免疫系のメディエータ分子を発現していることから、その機能の解明が急がれます。このようにグリア−神経の相互作用を分子レベルで理解することをめざしています。これらは、損傷神経の修復のみならず、孤発性の神経変性疾患の原因解明や治療法につながる研究であると位置づけています。

 

(2)異常疼痛発症メカニズムの解析

神経障害性疼痛モデルマウスと後述の慢性ストレスモデルラットを用い、異常疼痛発生のメカニズムを研究しています。これらのモデル動物では、感覚伝導路である脊髄後角でミクログリアやアストロサイトが活性化することが分かっており、前述の神経-グリア間の相互作用が、この場合でも重要であると考えられます。それらのグリア細胞が活性化するメカニズムと活性化したグリア細胞が疼痛を引き起こすメカニズムについて分子レベルで解析しています。

 

(3)慢性ストレスや疲労を科学する

機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome)には慢性疲労症候群や線維筋痛症など多くの症候群が含まれますが、それらの原因はまだ分っていません。しかし、過度の疲労やストレスがこれらの疾患となんらかの関連が有ると考えられています。特に睡眠障害、過度の疲労感、疼痛が共通した症状として現れます。このような症状は生体内のいかなる変化により起こっているかを研究しています。ラットの慢性ストレスモデルを用い、神経系(脳と脊髄)、内分泌系(下垂体や副腎など)、免疫系(胸腺や脾臓など)、循環器系(心臓など)の臓器において、慢性ストレス時にどのような遺伝子の発現が変化しているかを解析しています。また、その変化により何が生体で起っているのかを研究しています。最近、下垂体の一部で細胞が崩壊していることをはじめ免疫系や内分泌系の器質的変化が生じていることを発見し、これらが脳を起点として生じていることが見えてきました。すなわち慢性的なストレスは、脳に影響を及ぼしそれにより神経・免疫・内分泌系の変調が生じているのではないかと考えています。これらの原因から症状に至る過程を分子の言葉で説明できるように研究を進めています。

機能組織学(解剖学第二) HP

研究業績

2012年

Matsumoto S, Konishi H, Maeda R, Kiryu-Seo S, Kiyama H. (2012) Expression
analysis of the regenerating gene (Reg) family members Reg-IIIβ and Reg-IIIγ in
the mouse during development. J Comp Neurol.. 2012 Feb 15;520(3):479-94.
 
 
Yasui M, Shiraishi Y, Ozaki N, Hayashi K, Hori K, Ichiyanagi M, Sugiura Y.
(2012) Nerve growth factor and associated nerve sprouting contribute to local mechanical hyperalgesia in a rat model of bone injury. Eur J Pain. 2012 Aug;16(7):953-65.
 

Nitta Y, Konishi H, Makino T, Tanaka T, Kawashima H, Iovanna JL, Nakatani T, Kiyama H. (2012)
Urinary levels of hepatocarcinoma-intestine-pancreas/pancreatitis-associated protein as a
diagnostic biomarker in patients with bladder cancer. BMC Urol. 2012 Sep 4;12:24.
 
 
Ogawa T, Sei H, Konishi H, Shishioh-Ikejima N, Kiyama H. (2012)The absence of somatotroph
proliferation during continuous stress is a result of the lack of extracellular signal-regulated
kinase 1/2 activation.J Neuroendocrinol.2012 Oct;24(10):1335-45.
 

2011年
 
Kawahara S, Konishi H, Morino M, Ohata K, Kiyama H(2011)Pancreatitis-associated
protein-I and pancreatitis-associated protein-III expression in a rat model of kainic
acid-induced seizure.Neuroscience. 2011 Feb 23;175:273-80. Epub 2010 Nov 18.

 
Ohno N, Kidd G, Mahad D, Kiryu-Seo S, Avishai A, Komuro H,Trapp BD(2011)Myelination and axonal electrical activity modulate the distribution and motility of mitochondria at CNS nodes of Ranvier, J Neurosci. 2011 May 8;31(20):7249-58.

 
Konishi H, Ogawa T, Kawahara S, Matsumoto S, Kiayam H(2011) Continuous stress-induced
dopamine dysregulation augments PAP-I and PAP-II expression in melanotrophs of
the pituitary gland ,Biochem Biophys Res Commun. 2011 Apr 1;407(1):7-12. Epub 2011 Feb 15.

 
Luo X, Prior M, He W, Hu X, Tang X, Sheng W, Yadav S, Kiryu-Seo S, MillerR,Trapp B, Yan R
(2011) Cleavage of Neuregulin-1 by BACE1 or ADAM10 Protein Produces Differential Effectson Myelination, JBiolChem.2011Jul ;286(27):23967-74. Epub 2011 May 16.

 
Hodin CM, Lenaerts K, Grootjans J, de Haan JJ, Hadfoune M, Verheyen FK, Kiyama H,
Heineman E, Buurman WA. (2011) Starvation Compromises Paneth Cells, The American Journal of Pathology.2011 Dec;179(6):2885-93. Epub 2011 Oct 8.

 
Hayashi K, Ozaki N, Kawakita K, Itoh K, Mizumura K, Furukawa K, Yasui M, Hori K, Yi SQ, Yamaguchi T, Sugiura Y. (2011) Involvement of NGF in the rat model of persistent muscle pain associated with taut band , The Journal of Pain , 2011 Oct;12(10):1059-68. Epub 2011
 Jun 30.

 
Kiryu-Seo S, Kiyama H(2011) The nuclear events guiding successful nerve regeneration.
Front Mol Neurosci. 2011;4:53. Epub 2011 Dec 12.
 
2010年

Kiryu-Seo S, Ohno N, Kidd GJ, Komuro H, Trapp BD(2010)Demyelination increases axonal stationary mitochondrial size and the speed of axonal mitochondrial transport.J Neurosci. 2010 May 12;30(19):6658-66.

 

Konishi H, Ogawa T, Nakagomi S, Inoue K, Tohyama M, Kiyama H(2010)Id1, Id2 and Id3 are induced in rat melanotrophs of the pituitary gland by dopamine suppression under continuous stress.Neuroscience. 2010 Jun 20. in press

 

Nagata K, Kiryu-Seo S, Maeda M, Yoshida K, Morita T, Kiyama H(2010)Damage-induced neuronal endopeptidase is critical for presynaptic formation of neuromuscular junctions.J Neurosci. 2010 May 19;30(20):6954-62

 

Jeong YH, Ishikawa K, Someya Y, Hosoda A, Yoshimi T, Yokoyama C, Kiryu-Seo S, Kang MJ, Tchibana T, Kiyama H, Fukumura T, Kim DH, Saeki S(2010)Molecular characterization and expression of the low-density lipoprotein receptor-related protein-10, a new member of the LDLR gene family.Biochem Biophys Res Commun. 2010 Jan 1;391(1):1110-5.

 

Hama I, Nakagomi S, Konishi H, Kiyama H(2010)Simultaneous expression of glutathione, thioredoxin-1, and their reductases in nerve transected hypoglossal motor neurons of rat.Brain Res. 2010 Jan 8;1306:1-7.

 

Makino T, Kawashima H, Konishi H, Nakatani T, Kiyama H(2010)Elevated urinary levels and urothelial expression of hepatocarcinoma-intestine-pancreas/pancreatitis-associated protein in patients with interstitial cystitis.Urology. 2010 Apr;75(4):933-7.

お知らせ

人体解剖トレーニングセミナー

教員

構成員名/英名表記 役職 所属
木山 博資/Hiroshi Kiyama
教授機能組織学分野
桐生-瀬尾 寿美子/Sumiko Kiryu-Seo
准教授機能組織学分野
西尾 康二/Koji Nishio
助教機能組織学分野
小西 博之/Hiroyuki Konishi
助教機能組織学分野
町田 有慶/Tomoyoshi Machida
技術職員機能組織学分野