トップページ研究室紹介(基礎医学領域)健康増進医学(協力) 健康栄養医学

健康増進医学(協力)

健康栄養医学

研究室概要

健康栄養医学研究室では、栄養素の消化吸収の生理を、個体・細胞・分子レベルで研究する。主要テーマは、“膵臓のHCO3-分泌機構”である。嚢胞性線維症と慢性膵炎では、膵管上皮のアニオン輸送の障害が原因で膵液分泌が減り消化栄養不良をきたす。当研究室では、多角的に病態の分子生理の解明に取り組んでいる。

健康栄養医学 独自サイトへ

研究プロジェクト1

図1(クリックで拡大)

膵臓の重炭酸イオン輸送に関する細胞・分子レベルの研究
粘膜上皮の保湿とアルカリ化は、生体防御と消化吸収に必須である。当研究室では、生体内で最も高濃度の重炭酸イオン(HCO3-)を分泌する膵臓の導管を標本として用いて、粘膜上皮細胞のHCO3-輸送メカニズムを研究している。膵臓は、インスリンなどの消化管ホルモンを分泌する内分泌組織と、外分泌組織から構成される。外分泌組織はさらに、消化酵素を産生し分泌する腺房細胞と、HCO3-と水を分泌する導管細胞に分けられる。当研究室では、小動物の膵臓から単離した小膵管(径~100 μm)を使い、管腔を人工膵液で灌流して生体内の環境を再現した状態で、HCO3-輸送のメカニズムを解析している(図1)。細胞内外の微小空間の各種イオン濃度の変化、容積、膜電位をモニターすることにより、細胞レベルのHCO3-と水の輸送を測定する。図2は、当研究室に蓄積されたデータを元に作成した、膵HCO3-分泌モデルである。様々なイオンチャネル/トランスポータが基底側膜(basolateral membrane)および管腔膜(apical membrane)に配置され、HCO3-のベクトル輸送が実現する。最も重要な役割を果たしているのが、apical membraneに局在するCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)アニオンチャネルである。

図2(クリックで拡大)

研究プロジェクト2

嚢胞性線維症及びその関連疾患に関する研究
嚢胞性線維症(cystic fibrosis)は、CFTRの遺伝子変異によって発症する疾患であり、気道、腸管、膵管、胆管、汗管、輸精管のイオン・水輸送が障害される。管腔内の粘液/分泌液が過度に粘稠となり、管腔が閉塞したり感染し易くなる。典型例では、新生児期にイレウスを起こし、その後、気道感染症を繰り返し、膵外分泌機能不全による消化不良を起こす。嚢胞性線維症は、白人の最も頻度の高い遺伝病である。日本人を含むアジア人種では稀であるが、遺伝子変異/多型によるCFTR機能低下は、慢性膵炎、男性不妊症、びまん性汎細気管支炎、慢性副鼻腔炎の発症リスクになる。当研究室は、厚生労働省の“難治性膵疾患に関する調査研究”班において、嚢胞性線維症の遺伝子診断と全国疫学調査の事務局を担当している。

研究プロジェクト3

小腸における脂肪酸受容体の研究

研究実績

1. Functional coupling of apical Cl-/HCO3- exchange with CFTR in stimulated HCO3- secretion by guinea pig interlobular pancreatic duct. Stewart AK, Yamamoto A, Nakakuki M, Kondo T, Alper SL, Ishiguro H. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 296:G1307-17, 2009.


2. CFTR functions as a bicarbonate channel in pancreatic duct cells. Ishiguro H, Steward MC, Naruse S, Ko SB, Goto H, Case RM, Kondo T, Yamamoto A. J Gen Physiol 133:315-26, 2009.


3. 汗中クロライド濃度の簡便な測定法の開発 中莖みゆき、石黒 洋、代田桂一、山本明子、洪 繁、後藤秀実、藤木理代、近藤孝晴、遠藤 彰、成瀬 達 膵臓23:486-493, 2008.

大学院入学案内

健康増進医学講座は健康栄養医学分野、健康・スポーツ医学分野および精神健康科学分野に大別され、名古屋大学総合保健体育科学センターの保健科学部の教員が担当している。総合保健体育科学センターは、全学基礎科目「健康・スポーツ科学」の講義と実習、保健管理業務および健康増進に関する研究を行っている。
大学院生受け入れの条件としては、臨床研修修了が望ましいが、卒業直後でも可。医学部以外の卒業生も歓迎する。研究テーマは各人の希望にできるかぎり沿うようにしている。特にobligationとなる事項はないので、研究時間は十分にある。教職を希望する場合は、可能な限り関係方面に問い合わせ斡旋を行う。留学先も希望に応じて斡旋可能。

大学院修了者の進路
三井 隆弘(平成12年3月修了) 岩手大学教育学部家政教育科 准教授
藤木 理代(平成16年3月修了) 名古屋学芸大学管理栄養学部 講師

構成員

構成員名/英名表記 役職 所属
石黒 洋/ISHIGURO Hiroshi
詳しくはこちら→
教授総合保健体育科学センター 保健科学部
山本明子/YAMAMOTO Akiko
詳しくはこちら→
准教授総合保健体育科学センター 保健科学部
中莖みゆき/NAKAKUKI Miyuki
研究員