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病態内科学

血液・腫瘍内科学

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研究室概要

(1) 研究室の特徴

 

 造血器(骨髄)、血管、血液、脾臓・胸腺・リンパ節などの組織は生体内で極めて緻密なネットワークを形成し、健康で安全な生命活動を支えるために極めて重要な役割を演じています。血液は採取しやすく、試験管内でも扱いやすいことから、早くから研究対象として用いられてきました。現在私たちの血液・腫瘍内科学教室では、血液細胞の培養・保存・遺伝子変異の解析から人工的な遺伝子の導入、新規阻害剤の開発等、まさに細胞生物学から、生化学、遺伝子工学、分子生物学,創薬に至るまでの手法を駆使して、目の前の患者様の病態を解明し、新規治療法の確立を使命として日夜取り組んでいます。特に、白血病、悪性リンパ腫発症に関わる分子メカニズムの解析や新規分子標的療法の開発、分子標的薬(キナーゼ阻害剤や抗体治療薬など)に対する薬剤耐性の克服、同種造血幹細胞移植療(骨髄・臍帯血移植など)の成績向上に必要なHLA抗原の基礎的研究など、多岐にわたる最先端の研究分野で成果をあげてきています。
 さて当教室は、 平成13年から15年にかけての大学院重点化ならびに旧ナンバー内科の臓器別再編成にともなって、旧内科学第一講座の血液グループが独立したものです。 旧内科学第一講座の創設は大正時代で、日本血液学会創始者として知られる勝沼精蔵先生が初代教授を務めました。その後日比野進先生、祖父江逸郎先生、齋藤英彦先生が歴任され、これまでに血液学のみならず内科学全般においても歴史と伝統のある教室として発展を遂げてきました。
 附属病院では「血液内科」を担当し、造血器腫瘍(白血病、リンパ腫、骨髄腫など)、造血障害(再生不良性貧血など)、凝固異常症(血友病、vonWillebrand病など)などの診療に取り組んでいます。現在教室には博士課程16名の大学院生が在籍しており、卒後は海外留学を希望する人も多く、現在3名がアメリカ、1名がイギリス留学中です。また、現医局員22名のうち既に8名が海外留学経験者です。また、海外からの留学生も、随時受け入れています。

 

(2) 研究実績

 


当研究室から最近発表された論文の一部をご紹介します。

 

Missense mutations in PML-RARA are critical for the lack of responsiveness to arsenic trioxide treatment. Goto E, Tomita A, Hayakawa F, Atsumi A, Kiyoi H, Naoe T. Blood. 2011 Aug 11;118(6):1600-9.



The mTOR inhibitor, everolimus (RAD001), overcomes resistance to imatinib in quiescent Ph-positive acute lymphoblastic leukemia cells. Y Kuwatsuka, M Minami, Y Minami, K Sugimoto, F Hayakawa, Y Miyata, A Abe, D J Goff, H Kiyoi and T Naoe. Blood Cancer Journal. 2011. 1, e17; doi:10.1038/bcj.2011.16

 

PAX5-PML acts as a dual dominant-negative form of both PAX5 and PML. Kurahashi S, Hayakawa F, Miyata Y, Yasuda T, Minami Y, Tsuzuki S, Abe A, Naoe T. Oncogene. 2011 Apr 14;30(15):1822-30.


 

KW-2449, a novel multikinase inhibitor, suppresses the growth of leukemia cells with FLT3 mutations or T315I-mutated BCR/ABL translocation. Shiotsu Y, Kiyoi H, Ishikawa Y, Tanizaki R, Shimizu M, Umehara H, Ishii K, Mori Y, Ozeki K, Minami Y, Abe A, Maeda H, Akiyama T, Kanda Y, Sato Y, Akinaga S, Naoe T. Blood. 2009 Aug 20;114(8):1607-17.

 

Down-regulation of CD20 expression in B-cell lymphoma cells after treatment with rituximab-containing combination chemotherapies: its prevalence and clinical significance. Hiraga J, Tomita A, Sugimoto T, Shimada K, Ito M, Nakamura S, Kiyoi H, Kinoshita T, Naoe T. Blood. 2009 May 14;113(20):4885-93.

 

Presentation and management of intravascular large B-cell lymphoma. Shimada K, Kinoshita T, Naoe T, Nakamura S. Lancet Oncol. 2009 Sep;10(9):895-902.

 

Development of tumor-reactive T cells after nonmyeloablative allogeneic hematopoietic stem cell transplant for chronic lymphocytic leukemia. Nishida T, Hudecek M, Kostic A, Bleakley M, Warren EH, Maloney D, Storb R, Riddell SR. Clin Cancer Res. 2009 Jul 15;15(14):4759-68.

 

CTL clones isolated from an HLA-Cw-mismatched bone marrow transplant recipient with acute graft-versus-host disease. Sugimoto K, Murata M, Terakura S, Naoe T. J Immunol. 2009 Nov 1;183(9):5991-8.

 

Retrospective analysis of intravascular large B-cell lymphoma treated with rituximab-containing chemotherapy as reported by the IVL study group in Japan. Shimada K, Matsue K, Yamamoto K, Murase T, Ichikawa N, Okamoto M, Niitsu N, Kosugi H, Tsukamoto N, Miwa H, Asaoku H, Kikuchi A, Matsumoto M, Saburi Y, Masaki Y, Yamaguchi M, Nakamura S, Naoe T, Kinoshita T. J Clin Oncol. 2008 Jul 1;26(19):3189-95.

 

BCR-ABL-transformed GMP as myeloid leukemic stem cells. Minami Y, Stuart SA, Ikawa T, Jiang Y, Banno A, Hunton IC, Young DJ, Naoe T, Murre C, Jamieson CH, Wang JY. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Nov 18;105(46):17967-72.

 

Acetylation of PML is involved in histone deacetylase inhibitor-mediated apoptosis. Hayakawa F, Abe A, Kitabayashi I, Pandolfi PP, Naoe T. J Biol Chem. 2008 Sep 5;283(36):24420-5.

 

A novel FLT3 inhibitor FI-700 selectively suppresses the growth of leukemia cells with FLT3 mutations. Kiyoi H, Shiotsu Y, Ozeki K, Yamaji S, Kosugi H, Umehara H, Shimizu M, Arai H, Ishii K, Akinaga S, Naoe T. Clin Cancer Res. 2007 Aug 1;13(15 Pt1):4575-82.

 

Fatal thrombosis of antithrombin-deficient mice is rescued differently in the heart and liver by intercrossing with low tissue factor mice. Hayashi M, Matsushita T, Mackman N, et al. J Thromb Haemost 2006; 4: 177-85.

 


(3) 大学院入学案内

 

■大学院修士・博士課程学生募集


 血液・腫瘍内科学教室では、血液疾患における分子病態の解明を進め、新しい診断・治療技術の開発とEBMを作りうる質の高い臨床研究を推進することを目指しています。当教室では、これらの研究を推進し、その中核となって頂ける大学院生を、出身大学や経験は問わず募集しています。研究内容は、正常幹細胞や白血病幹細胞にかかわる分子機構解析、血液悪性腫瘍の発症機序の分子生物学的解析、分子標的治療法の開発、標的治療薬に対する耐性化機序の解析とその克服法の開発、移植・再生医療の臨床応用、 血栓症の分子機序に基づいた制御法の開発など、多岐にわたります。「最終的に患者さんに還元されうるオリジナリティーあふれる研究成果」を世界に発信させようと、多くの大学院生が日夜頑張っています。各プロジェクトは、研究能力の高いプロジェクトリーダー(PI)のもとに遂行され、研究の実施から論文発表まで一貫した指導が受けられる体制が維持されています。
 血液・腫瘍内科学での修士課程、博士課程の研究に興味をお持ちの方は、是非当科窓口へご連絡下さい。実際のプログラム見学も随時受け付けております。

教員

構成員名/英名表記 役職 所属
清井仁 / Hitoshi Kiyoi
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教授血液・腫瘍内科学
冨田章裕 / Akihiro Tomita
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准教授血液・腫瘍内科学
村田誠 / Makoto Murata
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講師血液・腫瘍内科学
早川文彦 / Fumihiko Hayakawa
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助教血液・腫瘍内科学
西田徹也 / Tetsuya Nishida
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助教血液・腫瘍内科学
寺倉精太郎 / Seitaro Terakura
病院助教血液・腫瘍内科学
島田和之 / Kazuyuki Shimada
講師(名古屋大学高等研究院)血液・腫瘍内科学
入山智沙子 / Chisako Iriyama
助教(卒後臨床研究・キャリア形成支援センター)血液・腫瘍内科学

研究分野紹介

専攻 分子総合医学
大講座 病態内科学
分野 血液・腫瘍内科学

研究キーワード

■研究対象とする疾患

急性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病 悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群 再生不良性貧血、溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、血友病、von Willebrand病 など

■研究対象とする病態や治療薬

遺伝子変異、染色体異常、分子標的薬、キナーゼ阻害剤、抗体治療薬、免疫療法、移植免疫、分化誘導療法、エピジェネティクス など

研究内容

血液・腫瘍内科学は、当大学の他のいくつかの部門や海外の研究室と密接な連携を取りながら、主に以下のテーマについての研究を積極的に推し進めています。

(1) 臨床研究グループ (清井仁教授、冨田章裕准教授、村田誠講師、早川文彦助教、西田徹也助教、島田和之高等研究院講師)

JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)に参加し、白血病の臨床研究に取り組んでいます。直江知樹教授は白血病”がん研究開発費”班長またJALSG代表として、清井仁講師は急性骨髄性白血病研究AML209の研究代表者として活躍中です。また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)に参加し、リンパ腫の新たな治療法の開発に取り組んでいます。富田章裕講師は厚生労働省リンパ腫班などにおいて班員を努めています。

(2) 腫瘍分子病態グループ (清井仁教授、冨田章裕准教授、早川文彦助教、島田和之高等研究院講師)

急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫における遺伝子変異・メチル化(エピゲノム)異常、分子標的薬に対する耐性化機序などを解析し、マウスモデルの作成なども行っています。患者さんの臨床像と分子メカニズムとの関連性を解析することから、さらに効果の高い分子治療の開発を目指しています。この研究は(3)の研究とも連携しています。

(3) 標的治療開発グループ (清井仁教授、富田章裕准教授、早川文彦助教)

製薬メーカーと共同でチロシンキナーゼ阻害剤、STAT阻害剤における前臨床開発などを行っています。Ablキナーゼ阻害剤に対する残存・耐性化や白血病幹細胞と耐性克服の研究も行っています。

(4) 移植・免疫グループ (村田誠講師、西田徹也助教、寺倉精太郎病院助教)

GVHDやウイルス感染など「移植後合併症の克服」や「GVL効果を高めるための基礎研究」に取り組んでいます。さらに、当科で実施している「ウイルス抗原特異的CTL療法」などの臨床研究や、名古屋BMTグループの一員としての多施設共同研究を通じて「新たな移植免疫療法の開発」も目指しています。また造血微小環境や間葉系幹細胞の基礎開発なども行っています。

(5) 凝固グループ (松下正教授 (輸血部))

先天性、後天性の血栓症の分子機構についての研究を進めています。von Willebrand病、TTP、巨大血小板症May-Haeglin Anomalyなどのマウスモデルの作成と解析に取り組んでいます。