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病態外科学

腫瘍外科学(外科学第一)

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教員

構成員名/英名表記 役職 所属
梛野 正人/NAGINO Masato
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教授腫瘍外科学
江畑 智希/EBATA Tomoki
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准教授腫瘍外科学
横山 幸浩/YOKOYAMA Yukihiro
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講師腫瘍外科学
國料 俊男/KOKURYO Toshio
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講師腫瘍外科学
角田 伸行/TSUNODA Nobuyuki
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講師腫瘍外科学
伊神 剛/IGAMI Tsuyoshi
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講師腫瘍外科学
菅原 元/SUGAWARA Gen
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講師腫瘍外科学
深谷 昌秀/FUKAYA Masahide
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講師腫瘍外科学
上原 圭介/UEHARA Keisuke
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講師腫瘍外科学
水野 隆史/MIZUNO Takashi
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助教腫瘍外科学
山口 淳平/YAMAGUCHI Junpei
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助教腫瘍外科学
宮田 一志/MIYATA Kazushi
助教腫瘍外科学

研究分野紹介

専攻 機能構築医学専攻
大講座 病態外科学
分野 腫瘍外科学
ユニット名 外科学第一

当科研究内容の紹介

1.大量肝切除術後の肝再生に関する基礎的・臨床的研究
 肝臓は非常に強い再生能力を持つ臓器です。このような能力がある故にわれわれは、原発性肝癌、転移性肝癌、胆管癌、あるいは肝内結石症などの疾患に対して、大量肝切除術という大胆な治療を行うことができます。肝臓のような旺盛な再生能力は、他の実質臓器に類を見ないため、そのメカニズムの解明は古くから研究の的になっています。なぜあまたある臓器のなかで肝臓だけがこのような能力を備えたのか?考えてみれば不思議なことです。生体のしくみがそれぞれに理由があるように、肝臓の再生能力にもきっとそうあるべき理由があるのでしょう。肝再生のメカニズムを解明する過程は、この理由を解き明かす過程ともいえます。

 これまで肝再生メカニズムについて多くのことが解明されてきてはいますが、まだまだその全貌が見えているわけではありません。肝再生が起こるには、なんらかの刺激が肝臓に加わらなければならなりません。この刺激があるトリガーを作動させて、定状状態にある肝臓の肝再生が始まります。そのトリガーが何であるのか、さらにその後にどのような因子が肝臓の再生を促進しているのかは、まだ十分にわかっていません。われわれはラットの70%あるいは90%肝切除モデルを用いて、この肝再生の謎に挑んでいます。

2.安全な広範囲肝切除術を目指した術前門脈枝塞栓術の適応に関する基礎的・臨床的研究
 当科では広範囲肝切除術を行う際に積極的に術前門脈枝塞栓術(PVE; portal vein embolization)を行い、手術の安全性向上を目指しています。臨床研究ではPVEの適応やアプローチ法に関する研究を行い、数多くの論文を排出してきました。また基礎研究ではラットの門脈枝結紮モデル(PBL; portal branch ligation)を用い臨床におけるPVEを再現して、肝再生メカニズムにかかわるさまざまな研究も行っています。なかでも、血管内皮伸展刺激に着目した肝再生メカニズムに関する基礎的研究では非常に興味深い結果が得られています。またPVEあるいはPBL後の肝再生に影響を与える因子についても積極的に研究を行っており、今後はさらに肝再生を促進させる因子を見出しPVE後により効率的に肝再生が得られるような治療開発を目指していきたいと考えています。

3.Synbioticsを用いた術前、術後管理法の研究
 大量肝切除を伴う胆道癌手術症例においては、術後感染性合併症が最も大きな問題となります。当科では術前および術後にsynbiotics(ビフィドバクテリウム+ラクトバシルス顆粒およびオリゴ糖)を投与する群としない群で前向き無作為抽出試験行い、synbiotics投与群で術後炎症性バイオマーカーであるIL-6、CRP、白血球数などの上昇が抑制されたり、術後感染性合併症発生が有意に少ないという結果を得ました。Synbioticsは腸内細菌叢組成の変化(Bifidobacterium属の上昇)や腸内細菌による発酵産物(fermentarion)である有機酸濃度の変化を誘発し、これが宿主の免疫能改善に貢献していると考えられます。またsymbiotics投与群では非投与群に比べ腸管の整合性が保たれており、bacterial translocationの発生が少ないものと推測されます。われわれはこのsynbiotics効果のメカニズムをさらに解明するため、大量肝切除術、膵頭十二指腸切除術、食道亜全摘術などに際してsynbioticsを使用し、その臨床的効果をみるとともに、synbiotics効果のメカニズムを解明するための前向き臨床研究を行っています。

4.閉塞性黄疸に対するインチンコウトウ投与の意義に関する研究
 胆道癌は閉塞性黄疸で発症することが多く、発見時にはこの胆道閉塞によりすでに肝臓が障害されています。このため、胆道をドレナージした後でも、減黄がなかなか進まないケースをしばしば経験します。この原因の一つと考えられているのが、肝細胞でビリルビンの排泄を司るMRP2(multidrug resistance protein-2)発現低下があります。われわれが行った以前の研究では、閉塞性黄疸を経験した肝臓では、MRP2の発現が有意に低下しており、このような症例では肝切除術後にも高ビリルビン血症を引き起こします。興味深いことに近年の研究で、漢方薬であるインチンコウトウが肝細胞微細胆管におけるMRP2発現を亢進するという結果がでています。われわれは、この結果をもとに閉塞性黄疸を経験した患者様にインチンコウトウ投与を行い、減黄の促進をはかるだけでなく、術後高ビリルビン血症改善を目指した、前向き無作為抽出試験を行っています。

5.胆道閉塞時における肝障害のメカニズムに関する基礎的研究
 胆道閉塞に伴う肝障害のメカニズムは大きく分けると(1)炎症性反応の亢進、(2)血管収縮因子の過剰産生による肝微小循環障害、(3)活性酸素種過剰産生による直接的細胞障害などがあげられます。またわれわれが以前に行ったラットの研究で、胆道閉塞時にはトロンボキサンA2が過剰に産生され、これが肝微小循環障害の一因と考えられます。現在われわれは、さまざまな薬剤を用いて、胆道閉塞後の肝障害抑制を得られないかどうかを研究しております。

6.胆道癌・膵癌の網羅的遺伝子解析とそれにもとづく分子標的治療の開発
 胆道癌や膵癌の手術成績は年々向上していますが、その予後はいまだ不良です。さまざまな前向き臨床研究により、これらに対する拡大手術には限界があることがわかってきています。したがって、胆道癌、膵癌の予後を向上させるには補助療法の開発が急務と思われます。近年の分子生物学の進歩により、さまざまな分子標的治療薬が開発されつつあります。われわれは、当科で数多く経験する胆道癌、膵癌の網羅的遺伝子解析を行い、癌特異遺伝子Nek2を発見し、さらにそれに対してsiRNAを用いた分子標的治療を行い非常に興味深い結果を得ました。今後はさらにこれを発展させ、臨床応用をめざしてゆきたいと考えております。